【歌の森・エンヤバー】
オーロラの都の南東に位置する歌の森は、童話大陸の有名観光地で、美しい景色と四季を楽しめる。観光シーズンにはバーを営むエンヤおばあちゃんが一儲けしている。 しかし、今年のハイシーズンは遅く、常連で狩人のジョージやドワーフ兄弟も、もう長い間来ていない。 みんなは、狩人のジョージはようやく狩りを覚えたため、もう一日中何も狩れなくて、バーで酒を飲んで寝るだけのジョージではなくなったと言う。他にも、狩人のジョージはどこかで非常に強力な魔法を習得し、彼をいじめていたゴブリンたちも今では彼の命令に従順するようになったと言う人もいる。また別の人は、狩人のジョージが他の人達と一緒に、歌の森にあるオズへのテレポートを壊し、それを修理できるドワーフを殴って閉じ込めたのを見たという…… エンヤばあさんはそんなことはどうでもよく、今年の帳簿上のわずかな収入だけが心配だった……彼女は今日も営業しながら「狩人のジョージは今日は来るのかねぇ」と考えた。 常連客が言うには、オーロラの都のプリンセスが逃げ出し、オーロラの都のレジーナ王妃殿下が激怒してあちこち探しているため、ここ最近はエンヤばあさんも開店時はもっと気を配る必要があるらしい。エンヤばあさんはただ頷いて、最近歌の森は物騒だから早く帰るようにと孫娘のスーザンに言った…… 「狩人のジョージは今日も来るのかねぇ。ドワーフ兄弟も久しぶりに見ていないなぁ」そう思いながら、今日もエンヤばあさんのバーは営業を開始した。 「狩人のジョージは今日も来ていないか……」 オズのポータルはとっくに修理されているのに、とエンヤばあさんは開店時にまだそう思っていた。 狩人のジョージは一体どこに行ったのだろう……エンヤばあさんは次第に考えるのをやめてしまった。